特色入試

大学入試の多様性を求めた文部科学省の通知に対応し,京都大学でも一般入試に加えて今年から特色入試が実 施される.医学部では小論文と面接での試験で定員 5 名の枠が設定されている.募集要項に書かれた医学部での 「求める人物像」は,「医学・生命科学に深い関心を持ち,かつ真摯な姿勢,熱意を持って真理を探究できる将来 の世界の医学をリードするような医学研究者としての資質・適性を持つ人材」とされていて,将来の基礎研究者 を強く意識した内容になっている.

小論文や短時間の面接で人物を評価することはたいへん難しい.医師にむかない人をふるいにかけることさえ 難しいのに,大学が期待しているような資質を持つ高校生を選抜するポジティブ セレクションは本当に可能な のだろうか.今後の大学入試改革案では,新たな共通 1 次選抜となる「学力評価テスト」が2024年度から本格的 に実施されることになっている. 1 点刻みの入試判定が良いとはけっして思わないが,われわれの頃の一発勝負 の大学受験にも良い所があったように思う.入試改革は今後の日本を牽引する人材の発掘と育成に大きく影響す る.やってみないとわからないという面はあろうが,これまでの入試制度の評価や公平性なども充分に勘案して ほしい.

(小川 修)