国立大学の研究環境

最近,国立大学の将来を懸念する記事を多くみかける.新幹線内の雑誌でも「国立大学の成れの果て」と題するショッキングな記事をみつけた.2004年には 1 兆2,500億円あった運営費交付金が2017年には 1 兆1,000億円と 一割以上削減されたことなどを紹介し,国立大学の研究環境の悪化と日本の科学の衰退傾向を指摘している.

 以前の編集後記でも書いたが,医学系の教室では奨学寄付金などがほとんどなくなり,研究はもちろんのこと 教室運営にも影響が出ている.競争的資金の獲得は年々困難になり,安定した研究環境を維持することが難しくなっている.一方では,研究にかかる費用も高額になっており,お金がなければ質の高い研究ができない.

 政府は高等教育の無償化を検討していると聞くが,その受け皿が「成れの果て」になっては意味がない.