泌尿器科再建再生研究会

ご挨拶

小林 恭 先生

 本研究会は2004年に設立され、同年6月に初代代表世話人である荒井陽一先生のもと、記念すべき第1回研究会が開催されました。当時、tissue engineering(組織工学)の技術がめざましく開発され、膀胱をはじめとする泌尿器科臓器の再建・再生に大きな夢が膨らんだ時期でもあります。また、機能再建・再生に必要な解剖学においては「前立腺解剖」の再考が進み、第1回のシンポジウムでは「陰茎海綿体神経の再建」が大きく取り上げられました。

 2019年には2代目代表世話人として武中篤先生がご着任され、コロナ禍におけるWEB開催という困難を乗り越えて現在に至ります。設立当初のいわゆるFounding Membersの先生方から世代交代が進むとともに、新たなメンバーもお迎えし、会員数も徐々に増加してまいりました。

 この間、再生医療は研究段階から実用化へと大きく進化を遂げました。特にiPS細胞を用いた世界初の移植手術(加齢黄斑変性など)の成功を皮切りに、心臓、神経、軟骨などの再生治療に関する臨床研究が急増いたしました。さらにゲノム編集との融合により遺伝性疾患治療の可能性が拡大したほか、CAR-T細胞療法をはじめとする遺伝子治療・細胞医療が薬事承認を受け、実際の医療として患者さんに届く時代に突入しています。

 一方、「再建」という観点においては、もともと泌尿器科領域には再建そのものを目的とした手術が多く存在し、欧米では“Reconstructive Urology”として確固たる診療領域を築いています。また、腫瘍切除術等において「病気を治す(完全切除)」だけでなく、「術後の生活の質(QOL)を損なわない」ための機能温存も極めて重要なテーマです。特に後者においては、手術支援ロボットシステムの導入により一層精緻な機能温存が可能となり、近年特に活発な議論が交わされています。

 このように、「似て非なる」とも言える“再建”と“再生”という2つの医療技術の進化の中で、これまで大きな足跡を残してきた本研究会ですが、このたび不肖私が代表世話人の大任を引き継がせていただくこととなりました。

 今後は、基礎的・臨床的研究の枠にとらわれず、腎・尿路・生殖細胞の再生と尿路再建術という本研究会の2つのメインテーマを軸としながら、派生する幅広いテーマについても積極的に演題を募集してまいりたいと考えております。

 多角的な視点から演題を募ることが、本研究会の会員・参加者の多様性を高め、ひいては本邦における泌尿器科再建再生医療のさらなる発展へつながるものと確信しております。

 多角的な視点から演題を募ることが、本研究会の会員・参加者の多様性を高め、ひいては本邦における泌尿器科再建再生医療のさらなる発展へつながるものと確信しております。

 

2026年6月

泌尿器科再建再生研究会 代表世話人 小林 恭