適切な距離感

「ほとんどの患者さんは君にとっては人生の先輩なんだから,敬語を使って話したほうが良いよ.」医師二年目の時に指導医からこのように忠告された.当時は,医師と患者間の適切な距離感がわからず,「ため口」で話したほうが親近感をもってもらえるのではないかと誤解していた.それ以降,患者さんには出来る限り敬語で接している.

医師と患者間の適切な距離感を保つことは予想以上に難しい.中には「先生,今度XXXをしましょう.」と,いっきに距離感を縮めてくる患者さんもある.「ありがとうございます.また,今度お願いします.」とやんわりとお断りすることにしている.ボクシングでいうヒットアンドアウェイ戦法である.この距離感を間違えると,医師患者関係がギクシャクするだけでなく,反社会的勢力につけ込まれるリスクまである.

( 小川 修 )