Apocalypse solstitia backronyma

去年も同様であったと記憶していますが、今年の夏休みも各地で恐竜展が開催され賑わいを見せているようです。もはや夏の風物詩と言ってもよいでしょう。恐竜絶滅の原因に関しては様々な説が唱えられていますが、いまだ解明には至っていません。あれほどの繁栄を誇った恐竜が地球上から姿を消してしまったという事実の衝撃の大きさもさることながら、明日は我が身、我々人類の未来にも起こるかもしれないという一抹の不安が古代へのロマンをかき立てているのかもしれません。

勢力、多様性ともに爆発的に拡大して多くの個体が地球全体へと広がった時代。おとなしくひっそりと潜むように生息しているものもあれば、非常に攻撃的で時に周囲の環境を破壊しながら急速に勢力を拡大していくものもあります。

抵抗勢力も現れないまま、さらに拡大を続けるかと思いきや突然必須の栄養素の源であった食物が枯渇して、急激にその数を減らします。しばらくは残ったごく少数の個体が限られた食物を頼りに細々と潜伏するように生きながらえる期間が続きますが、そのうちわずかの食物を最大限活用できるようになったり、別の食物を栄養として利用できるようになったりといった進化を遂げた個体が出現して、再びその個体数を徐々に増やしていきます。

性質を変えることで危機を乗り越えたかに見えましたが、それもつかの間、今度はその限られた食物も完全に枯渇し、代替として利用していた食物もいよいよ利用できなくなって、さらに勢力は縮小してしまいます。ところがそんな中、さらに革命的な変異を持った個体が出現します。

前述の多様化が進んだ時代にすでにそのような個体が少数ながら存在していたのかもしれません。あるいは当時は存在していなかった新たな性質を獲得したのかもしれません。

立証は困難ですが何れにしてもこれらの個体はもはや必須であった食物が全くなくても生き延びて繁殖することができます。中には元の姿の面影をとどめているものもありますが、全く姿を変えてしまっているものもあります。何れにしても、こうなると増殖に歯止めをかけることはもはや不可能となります。新たな環境の変化や他の生物の出現によって増えすぎた生物の拡大を抑え、生態系がバランスを取り戻すようにしなければ、無秩序に増殖する生物によって生態系としての惑星そのものの存続が危機にさらされてしまうことになります。

腺性組織に見られる枝分かれのごとく多岐にわたる変化を遂げた多様化に対応するように様々な特異的変化が生じることによってその都度支配的となりつつある集団がまたその勢力を抑えられ、ということの繰り返しになるのか、より普遍的な生命維持の根幹に近い必須の要素に打撃を与えることで多様化をものともせず一網打尽にする変化が起こるのか、謎は尽きることがありません。

がんじがらめになることなく柔軟な頭を持って考えれば、これらの謎を解き、決してはるか昔の出来事でも遠い未来の絵空事でもない、現実に眼の前で起きているこの問題を解くことができる日が来るかもしれません。

小林 恭