泳ぐ精子君

ブログを書くことになりました。しかし、なにを書いてよいやら。
いままで人のブログもまともに読んだこともありませんでした。こんなのでよいのか?と思いながら書いております。

昨日は29日と祝日でした。通常の勤務はなく、他の病院にお手伝いにいきました。
滋賀の産婦人科クリニック。
「なぜ泌尿器科医が産婦人科に手伝いに行くの?」といわれそうですが、実は不妊症治療のお手伝いなのです。

不妊症は結婚しても子宝に恵まれないカップルの悩み。
女性が原因の場合と男性に原因があるときとがあって、私たち泌尿器科医は男性側を担当しています。

男性の中には精液中に精子が含まれない無精子症という病状の方がいます。
原因はさまざまですが、治療には精巣から精子を探し出す手術が行われます。精巣の一部分を手術でとりだしてすりつぶし、その中にわずかに含まれるかもしれない精子を顕微鏡で探し出すというもの。

精子があればそれを凍結保存してのちの体外受精に使います。うまく精子が見つかるときもあれば、精子が作られている気配が全くみられないようなケースもあり、術前に予想すれどもこれがなかなか難しいのです。

通常精子が見つかる確率は半分以下で、手術前の説明でも患者さんとその奥さんにそのようにお話ししています。なので、うまく精子が見つかった時には喜びはひとしおです。
大概の奥さんはニコニコ。一方、当事者のご主人は「うれしい」というよりもホッとした表情を浮かべられます。「無精子症」と診断され、男性であることを否定されたような心境になっているのでしょうね。「自分の仕事を果たした!」という表情なのかなと思っています。

スタッフも動いている精子をみて喜びを分かち合います。私も15年以上この手術にかかわってきていますが、精子が動いていると聞くといまだにテンションが上がります。男性不妊症をやっていてよかったと思うひとときでして、確認もかねて顕微鏡をのぞきに行ったりしてしまいます。

そんな中、時に独特の盛り上がりを見せる看護師さんがいます。「どれどれ、みせてみせて!きゃーホンマやあ、動いてる~♡(ハートマーク)」てな感じです。(もちろん不妊専門クリニックの看護師は見慣れているのでこんなことはありませんが。)

それにしても、精子をみて盛り上がっている姿って、医療関係者以外の方はちょっとひいてしまうかもしれませんね。(大久保)