転勤

京都大学泌尿器科は,ご存じの通り西日本を中心に関連病院が多数あります.いずれの病院もそれなりの規模の病院ばかりですし,泌尿器科医として研鑽を積んでいくには素晴らしい環境だと思います.その中で,「転勤」というイベントは誰もが経験することになります.人によっては(特に学生さん)転勤をネガティブに考える方もいるようですが,私は医師として成長していくうえで欠かせない,素晴らしい経験だと思います.

転勤の何が素晴らしいのか?私が考えるに,いろんな病院での勤務を経験することで ①幅広く疾患を経験し診療できるようになる ②様々な考え方に触れることで診療や手術における技術の幅が広がる ③新しい環境への適応力が高まる 等のことから,医師としても人としても成長できるのではないかと思います.また,自分が住んだことのない地方に住むチャンスがあれば楽しいこともたくさん!自分の知らない文化や歴史に触れることはとても刺激的で楽しいものです.

私自身京都府出身ですが,3年間静岡県への転勤を経験しています.関西にいると静岡のイメージがあまりないかもしれません.晴天が多く気候は温暖,海の幸も豊富でお酒もおいしく,自然も多い素晴らしい環境でした.転勤先は京都大学の関連病院ですので,他科の医師にも関西にゆかりのある方が多く,その地域の医療を自分たちが支えているという自負もあり,皆やりがいをもって働いていました.静岡県中部にいましたが,静岡市は言うまでもなく都会ですし買い物,グルメにも困りません.また,東京にも京都にも日帰り可能です.温泉も多く,子供が遊ぶ公園や施設もたくさんあります.大井川鐡道ではSLが走り,トーマス号(ほんとに実在している!?)は子供たちに大人気(Fig.1)!譲渡された昔の京阪特急(2021年現在老朽化で既に引退の模様)や近鉄特急,南海電鉄などの車両も走っていて鉄道好きな大人からしても興奮スポットです.沿線にある川根温泉では温泉に入りながらSLを見ることができ,牧之原台地まで広がる広大な茶畑は圧巻です.何気なく外を見たときに見える富士山は特に関西で育った私からすると新鮮で,心が洗われる気持ちになったものです(Fig.2).ちなみに静岡県の“あるある”をテーマにした「ローカル女子の遠吠え」という漫画がありますが,テンポよく笑いの要素もあり静岡を知るには最適な教科書だと思います.

一度しかない人生,様々な経験を積みながら医師としても人としても成長するのに「転勤」というイベントはもってこいだと思います.

すべては経験!積極的に吸収してポジティブに行きましょう!

Fig.1 大井川鐡道 千頭駅にて


Fig.2 小川港付近より望む富士山

文責 増井仁彦