京阪Urology Conference

去る2013年6月22日にホテルグランヴィア京都で第1回京阪Urology Conferenceが開催されました。

 京大と阪大の泌尿器科の主に研究室間での交流をはかるべく今年度から始まった会で、第1回は京大の主管ということで京都での開催となりました。

折しも天皇陛下の京都・大阪への巡幸啓と重なったことで、警備上の交通規制のために開始が数分遅れるというハプニングがありましたが、大阪大学泌尿器科野々村祝夫教授による開会の挨拶に引き続き、各大学から大学院生が3名ずつ自身の研究テーマを発表しました。

今回は特に第1回ということで、まずお互いの顔合わせをということもあり、発表者以外の大学院生も含めて、各自がスライド1枚・持ち時間1分で自己紹介を行っていただきました。

短時間で研究テーマに限らず自身のことについて紹介をして相手に顔と名前を覚えてもらう「しゃべり」は”elevator talk”とも呼ばれ、日常生活のなかで、エレベーターで偶然・突然居合わせた相手に自己紹介をするシチュエーションを想定したものですが、いかに自分をアピールするかが重要視される欧米では、特に若手研究者にとって重要なスキルの一つとされています。

今回は1枚とはいえスライドの助けも借りての自己紹介でしたが、参加した大学院生の皆さんは会が終わって時間の経過した今でも参加者の記憶に残っているような印象的な自己紹介をすることができたでしょうか?

研究テーマの発表に関しては、仔細な研究結果のデータだけでなく、それを導きだした実験系の紹介に普段よりも多くの時間を割いてもらうようお願いしました。実験系の樹立に至るまでのアイデアの捻出、乗り越えなければならなかった問題点、問題点克服のための工夫、また残された課題などについて、将来的に(あるいはすでに)論文化された時には表に出てこないような苦労話を紹介していただきました。

当然のことですが、それぞれの実験系が多くの紆余曲折や創意工夫の上に成り立っており、現在新たな実験系の樹立に取り組んでいる大学院生の皆さんにとっても参考に大いに参考になったのではないでしょうか。

大学院生の発表の後には、野々村教授に座長の労をお執りいただき、京大の小川教授に「泌尿器科腫瘍学研究が教えてくれたこと」と題した特別講演を賜りました。小川先生がurologist-scientistとして歩んでこられた道程を、当時の思い出や実験生データを交えながらエキサイティングに語っていただき、最後には現在研究生活に身を投じている若手泌尿器科医に向けたメッセージで締めくくっていただきました。

 教室員であっても(あるいは身内であればなおさら)なかなか聴く機会のない内容でもあり、多くの大学院生にとって今後の研究生活へのよいモチベーションとなってくれれば幸いです。

 さて、学術的Conferenceの後は懇親会で更なる交流を深めることができました。以前からの旧交を温めた人もいたでしょうし、今回新たに知り合った人もいて、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。両教授とも二次会までご参加いただき、特に熱い話で盛り上がったようでありました。

来年大阪で予定されている第2回は特別講演として野々村教授のお話を聴かせていただけるものと期待しております。

また、1年後に各大学院生の研究がどのように進展したかを見せていただけるのも楽しみにしております。

最後になりましたが、今回の企画という大役を与えてくださった野々村・小川両教授、ともに企画に携わってくださった阪大の植村元秀先生に厚く御礼申し上げます。

 今後も両教室がお互いに刺激し合い切磋琢磨していって、来年以降も本会がますます盛り上がることを期待します 。それによって教室員一人一人のモチベーションにつながって、両教室のさらなる飛躍、ひいては泌尿器科学の発展に少しでも寄与できれば幸いです。

2013年7月
京大泌尿器科 助教
小林 恭