テニスとゴルフと泌尿器科

 先月の話になりますが・・・今年のウィンブルドンは歴史の残る大会となりました。

 イギリス国民の期待を一手に背負って大会に挑んだ世界ランク2位のアンディ・マレーが英国人男性として77年ぶりに栄冠に輝きました。1年前に決勝で破れた時はメンタルの弱さを指摘されましたが、今年は見事にその重圧をはね退けての優勝でした。相手は世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ。相手が相手だけに、スコア上はストレート勝ちではあったものの最後の最後まで一瞬でも気を許したら逆転されるかもしれないという緊張感があり、凄まじい気迫と気迫のぶつかり合いでした。私も“いちテニスファン”としてテレビの前で両手を汗でびちょびちょにしながら固唾を飲んで試合の行方を見守り、優勝の瞬間は一人でテレビに向かって両選手に拍手を送り、少し涙ぐんでしまいました。

 テニスの魅力はそのゲーム性もさることながら、自分のメンタルが勝敗に大きく左右する点、相手との駆け引き、そしてそれを乗り越えたときの快感がやみつきになるところにあると思います。また、テニスはその人の人間性が大きくプレーに表れるスポーツであり、一度一緒にプレーするとその人がだいたいどういう人間かを感じ取ることができます。

 同じようにメンタルが大きく左右するスポーツとしてはゴルフがあります。事、泌尿器科の先生にはゴルフをこよなく愛している先生が多いように思います。この病みつき具合はテニス愛好家に似たところがあると思い、以前からその理由を考えていたのですが・・・。

 ゴルフやテニスといったスポーツは個人競技の中でも特に精神力や、判断力、一瞬の集中力が求められるスポーツで、その緊張感が好きな人にとってはたまらなく楽しい時間なのだと思います。そして勝つためにはまず自分の力量を知り、それが最大限に発揮できる準備、トレーニングが必要となります。それはまさに外科医、引いては医師に求められるものと同じです。術前の準備から体調管理、術中の判断力や体力、集中力といった外科医に必要な素質はスポーツで求められるものと非常によく似ています。ゴルフに関しては私もまだ経験が浅く偉そうなことを言える立場ではありませんが、医者という職業の中でも特に外科医で手術が好きな人達というのは、仕事がoffの時間でも相手との駆け引きや緊張感を好む習性があるのでしょうか。

 また、もちろん手術は一人ではできません。私は、手術はテニスのダブルスと同じだと思っています。術者と助手(ダブルスのペア)が相手の力量に合わせて動き、時には補い合い、時には意見し、段々息があってきて阿吽の呼吸でプレーできた時の快感は手術でもダブルスでも同じです。相手との駆け引きを楽しむシングルス、ペアと“シンクロ”する瞬間を楽しむダブルス、私はどっちも捨てがたいテニスの楽しみ方だと思っています。

 そんなことを考えながら、(テニス界では)歴史的な年の春から始まった私の大学生活も早4ヶ月が過ぎました。新しい環境で、手術もテニスも(ゴルフも?)もうワンランク上のステップへスキルアップしたいと考えています!!皆様、ご指導宜しくお願い申し上げます。

文責:医員 濱田 彬弘