アメリカでの留学生活~遊び編~

2012年4月より京都大学医学部泌尿器科学教室の助教として働いております、寺田と申します。
私は2010年4月から2012年3月までの2年間、アメリカのボルチモアにあるジョンス・ホプキンス大学というところに留学しておりました。
フリーブログということで、その時の「遊び」に関することを中心に書かせて頂きます。

ボルチモアはアメリカの東海岸にあるメリーランド州というところにあります。
車でワシントンDCまで1時間、ニューヨークシティまで3時間です。
州のシンボルはブルーシェルクラブという名の「カニ」です。
メリーランド州はチェサピーク湾という極めて汚い海に面しており、普通の魚が住めないためにカニが異常繁殖しているのだと認識しております。

夏の風物詩はカニ釣りです。
タコ糸の先に鶏肉を結び付けて突堤から垂らしておくと、その鶏肉をカニがハサミで挟むという、日本の釣り師が見たら卒倒しそうな乱暴な釣りです。持って帰っても良いカニは限られており、メスや小さいオスを持って帰ると、ボートに乗った海上警察がやってきて高額な罰金を払わされます。

その汚いカニを丁寧に洗って、「オールドベイ」という特産のコショウを入れたお湯で煮て食べます。大きさは渡り蟹くらいですので、身は少ししかありません。ナイフやハンマーを使って殻を割り、なけなしの身を食べます。釣らなくても、あちこちにあるカニレストランで食べることが出来ますが、オールドベイが大量にかかっており舌がひりひりします。それが意外にアメリカの薄味ビールには良く合います。

緯度は日本の秋田くらいで、夏はとても日が長く、午後8時半くらいまで日がくれません。
日本と同じく四季があり、春には桜が咲き、夏はからっと暑く、秋には紅葉を楽しめ、冬は大雪が降ります。

私が住んでいたのはボニーリッジという名の集合住宅です。日本人が好んで住んでおり、敷地内に公園、プール、テニスコート、バーベキュー場、ジムなどがあり、特に家族で住むにはとても良い所でした。

2ベッドルームで家賃月10万円くらいでしたが、部屋はとても広く、友人から頂いたプラレールを部屋いっぱいに敷き詰め、電車好きの2人の息子にとって夢の様な空間を作って遊んでいました。実は子供だけでなく、自分も童心に帰って楽しんでいました。
さらに部屋が1階でしたので、バックヤードと呼ばれる裏庭がありました。夏にはホタルが飛び、冬にはかまくらや雪だるまを作りました。

アメリカ人に、アメリカの名物は何かと聞くと、かなりの頻度で「バーベキュー」という答えが返ってきます。バーベキューとは外で肉を焼いて食べることであって、それを名物と言えるのか、とつっこみたくなりますが、どうやら付けるソースの味が地方によって特色があるとのことです。

アメリカのバーベキューは基本的にハンバーグとソーセージを焼き、パンにはさんで食べます。
味は決しておいしいとは言えませんが、無意味に広い、緑豊かな公園でのバーベキューはとても気持ち良く、広大な大地を持つアメリカならではの名物であると実感させられました。
アメリカの家庭には一家に一台「グリル」と呼ばれるバーベキューセットがあり、大阪出身の私は、一家に一台タコ焼き機がある家庭とかぶりました。

ボルチモア市内にいくつかパブリックゴルフコースがあり、その中で最もお気に入りのコースがパインリッジゴルフコースという所です。
大学から車で20分の所にあり、湖のほとりで、とてもパブリックとは思えないほどきれいでした。
コース内にはシカやアヒルが生息しています。ティーグランドにアヒルの大群がいてショット出来ないことや、フェアウェイの中央でカメが歩いていることもありました。休日でも5000円くらいでラウンド出来ますし、平日の夕方なら1500円で日暮れまで回れます。ラボの自由な雰囲気にも助けられ、平日にも頻繁に回りました。

ゴルフコースには日本の様に風呂は付いておりません。その代わり、終わった後にバッファローウィングを食べに行くのがお決まりのコースでした。基本は甘いバーベキューソースのかかった手羽先なのですが、好みで色々なソースが選べます。私はいつも「ホット」を頼んでいました。程よく辛くて、これまたビールに良く合います。友人は「ホットガーリック」というのを好んで食べていましたが、翌日にはもれなくお腹を下していました。

スポーツ観戦はアメリカでの楽しみの1つです。
ボルチモアにはレイブンズというNFLチームと、オリオールズというMLBチームがあります。
どちらの球場も大学から車で10分くらいのところにありました。

レイブンズは毎年プレーオフに出る様な強豪チームです。冬のNFLシーズンになると、町中がレイブンズの紫のユニフォーム一色になります。アメフトについてはルールすら良く知らなかったのですが、調べてみると意外と簡単で、見ているうちにすっかりはまってしまいました。一度球場に観に行きましたが、観客のテンションの高さは常軌を逸しており、とにかく魅せ方や盛り上げ方が上手で、「究極のプロスポーツ」という印象を受けました。いつの間にか、プレーオフでレイブンズが負けた時に本気でへこむくらいファンになっていました。

オリオールズは万年最下位のチームでしたので、球場はガラガラで、公認のダフ屋サイトを使うと1人1000円くらいで席が取れます。オリオールズを応援しに行くというよりは、日本人選手を見に行くことの方が多かったです。日本と違って球場に金網が有りませんので、選手を間近で見ることが出来ます。

他に、ワシントンDCの近くのベセスダというところで開催された、メジャーゴルフトーナメントの1つであるUSオープンも観に行きました。世界各国の有名選手の中で、日本から石川遼選手が参加しておりました。観に行ったのが予選であったこともあり、石川選手の周りにはそれ程人がおらず、18ホール全てのプレーを追っかけました。世界で戦っている日本人を見るのは、何とも言えない感動がありました。

アメリカ人は遊ぶのが本当に上手です。
「郷に入りては郷に従え」と思い、私も良く遊びました。
アメリカでの2年間は本当に充実しており、他にも山ほど楽しいことがありました。今回はあくまで「ボルチモア」での遊びということで書かせて頂きました。(寺田直樹)