さぁ、映画でも・・・

最近は映画館に足を運ぶ時間と気力もなくすっかり遠ざかっていましたが、この夏は一度ぐらい見に行きたいと考えています。“ジュラシック何とか”、“マッド何とか”、“ターミ何とか”とか“ミッションインポ何とか”などずいぶん懐かしいタイトルの続編が上映されていることもそういう気分を盛り上げてくれます。3Dで見るとまた迫力があるのでしょう。

ところでジュラシック・・・の第1作が公開されたのは私が大学生だった1993年です。スムースに動く恐竜の迫力に感動したものです。しかし、当時はコンピュータグラフィクスの精度もまだまだ高くはなかったわけですから、うまく実写と組み合わせて(実際CG自体は合計7分程度)見る者の視覚に訴えていました。この20年のコンピュータグラフィクスの進歩は本当に目覚ましいものがあります。“インテル入ってる”のインテル創業者の一人ゴードン・ムーアが1960年代に提唱した集積回路の進歩法則に従うと、20年でその性能は約10000倍と予想されるようですが、2000年を超えてから実際にはさらに飛躍的な進歩が起こっているように思います。

映画のストーリーで出てくる恐竜の血液DNA配列の全解読についてもずいぶん現実味をおびてきました。第1作公開前の1990年に始まり“ジュラシック・・・Ⅲ”が公開された2001年頃に結果が出たヒトゲノム計画では、全ゲノム解析にかけられた予算はなんと3000億円(それでも新国立・・・の建築予算ぐらいですが)。一人のDNA解析にかかる値段と時間は、2007年10億円で年単位だったのが、2009年私が留学先で行ったときは1000万円で約半年、今では10万円ぐらいで1週間程度まで下がってきています。当時はまだ先の話かなと感じられるストーリーでしたが、今では“ああ、確かにそれぐらいならどこでもすぐできるね”と思いながら今回の新作を見ている人も少なくないかもしれません。

原作者の故マイケル・クライトンはハーバード大学メディカルスクールを卒業した医学博士ですから、少し先の決して非現実的ではないところを織り交ぜた作品に魅力がありました。あれから20年経って、分子生物学の研究にも身を置いた経験の上で今回の作品ではどれぐらい現実味を感じながら見ることができるのだろうなどと考えています。

ちなみに余談ですが、やはり泌尿器科医としては心を馳せざるを得ない点をまじめに研究している方は海外にたくさんおられるものです。ティラノサウルスだと約3.7m!こんな推測がされていますが、骨だけから想像するのはなかなか難しい世界です。

助教の山崎でした。