吉田神社の節分祭

寒い日が続いていますが、暦の上ではもう春です。今回は、京都の初春の風物詩、吉田神社の節分祭を紹介させて頂きます。吉田神社は、京大病院から徒歩5分ほどの吉田山にある神社で、その鳥居は京都大学正門の目の前にあります。

吉田神社の節分祭は、室町時代に執行されて以来、信仰と伝統を誇る京洛の一大行事と言われていて、毎年節分をはさんで前日祭、当日祭、後日祭が行われます。例年約50万人の参拝者が訪れるとのことで、期間中境内は約800店の屋台露店と厄除祈願や御神札を求める参拝者の人波で埋め尽くされます。

祭りのハイライトの1つが追儺式(ついなしき)と言われる儀式で、前日祭の夕方に行われ、俗に「鬼やらい」と呼ばれています。「鬼やらい」は相当に歴史のあるありがたいもののようで、吉田神社のホームページによると、『 平安朝の初期より毎年宮中にて執行されていたものを、古式に則って厳修に伝承・継承されており、古の趣を現在に伝える数少ない神事の一つといえます。その儀式は、大舎人が黄金四つ目の仮面を被り、玄衣朱裳を着装し、盾矛をとりて方相氏となり、・子(しんし※人偏に辰)という小童を多数従え、陰陽師が祭文を奏し終えれば方相氏大声を発し盾を打つこと3度、群臣呼応して舞殿を巡ります。最後に上卿以下殿上人が桃弓で葦矢を放ち、疫鬼を追い払います。平安京鎮護の神として、また全国の神を祀る社として、鬼すなわち悪神を追い払い諸人の不幸を除いて、人々の幸福と平和な生活を願います。』とあります。

3歳と5歳の子供を持つ父親として、個人的に面白いのが、この鬼です。この鬼がめちゃくちゃリアルで怖いのです。定期的に境内に現れては、暴れまわります。小さい子供にも容赦なく大きな唸り声をあげて近づいて来て、金棒を振り上げます。そこら中で子供の泣き声が響き渡ります。とはいっても、この荒れ狂った怖い鬼を見られるのは、前日祭の夕方まで。「鬼やらい」の後は、良い鬼になってしまうので、あまり怖くありません。

長男は1歳8か月の時にこの鬼を見た衝撃が半端ではなかったようで、半ば鬼がトラウマになってしまいました。1年後に他の神社の節分祭で鬼の仮装をした人を見ただけで、狂ったように泣き叫び続け、夜には「こっち来ないでー!」と寝言を言いながらうなされ、38度の熱をだしてしまいました。

巷では、子供がだだをこねた時に使う「鬼から電話」なるアプリがあるらしいですが、吉田神社の鬼の方がはるかに効果的かもしれません。

皆様もお時間があれば、吉田神社の節分祭、一度行ってみてください。境内では、福豆という抽選券付きの豆も購入でき、運が良ければトヨタのヴィッツなども当たるそうです。

後藤崇之