コロナ禍 私のステイホーム

当科ホームページのリニューアルに伴い長らくスタッフブログを休止していましたので久しぶりの記事になります。コロナ禍の中、皆様いかがお過ごしでしょうか?ブログといってもずっとステイホームしていますので目新しいネタがあるわけもなく、今回は私のコロナ禍における過ごし方やステイホームでちょっと気がついたことなどについて書いてみます。

ご存知かもしれませんが、今回のコロナ騒動で京大病院では非常に厳しい行動規範が職員に通達されています。4月の初めには相当数の新しい研修医がこの行動規範に従っていなかったことで自宅隔離となり新聞等で大きく報道されました。緊急事態宣言解除後、徐々にこの行動規範は緩められましたがその後、第2波の恐れが高まり先週から再度、元のレベルに引き締められています(涙)。具体的に言うと、我々は家族との外食を含む全ての外食が禁止、一人での外食も生活に必要な場合のみで30分以内に限る、私的旅行禁止、県をまたぐ出張も可能な限り自粛となっています。3月に最初に聞いた時は「そんな無茶な!」と思いましたが4月には先述の報道を受けて院長から全職員に再度行動規範を守ることの徹底が要請され病院としての本気度が伝わりました。その後の緊急事態宣言などの世間の流れをみるとこの一見無茶苦茶な行動規範も高度な医療を担う京大病院としての覚悟を示した妥当なものだったなという感想です。

私がこんな中、どのように過ごしたかですが、まずゴールデンウィーク辺りはベタに動画三昧でした。アマゾンプライムと契約し、「北斗の拳」を全話視聴しました。小学生の頃に少年ジャンプで読んでいた記憶はあるのですが、父の海外赴任に伴い中断してしまい最後まで読んでなかったので大変楽しめました。妻や娘には呆れられましたが、私は逆に事細かに登場人物の特徴やストーリーを覚えている妻に大変驚きました。また、外食できない分、普段はなかなか行かないちょっとお高いスーパーに通い、普段は手を出さない高級食材を買い込んで自宅で調理しました。ただ、調理する際は必ずビールやらワインやら飲みながらになりますので結果的に夕方の早い時間から呑んだくれていることになりアルコール量がかなり増えました。ゴールデンウィークだけで何本ワインが空いたことか。当然ながら太るので朝晩と1日1万歩以上をノルマに散歩しましたが体重は過去最高を記録し、今も落ちません。

テレビなどでは医療機関が逼迫し、最前線で働く医療従事者が昼夜なく大変疲弊している状況が報道されていましたが、泌尿器科に関して言えば全く逆の状況でした。京大の泌尿器科は悪性腫瘍の患者さんの治療を得意としているのですが、コロナに伴い患者さんが人間ドックやかかりつけ医の受診を控えた結果、新規患者さんの数が激減、さらに普段通院する患者さんも受診を控えたり電話診療に切り替えたため日常の臨床業務はかなり暇になりました。講演会や研究会なども全てキャンセルされたため出張もなくなり体力的にもかなり楽になりました(収入もその分大幅に減っていますが)。その分増えたのがウェブ会議。院内のコロナ対策のウェブ会議が頻回に行われるようになり、また製薬会社の方との面会も全てウェブ、大学院生との研究進捗確認の会議もウェブになり当初はちょっと目新しかったZoom会議ももはや食傷気味です。

このようなvirtualな日々のなかで気がついたことが二つあります。一つめは自分がこれまでいかに日々の小さな楽しみでストレスを発散させていたかということ。臨床業務が暇になり出張もなくなって体力は余裕があるのでその時間を論文執筆等に当てたらいいと頭ではわかるのですが、友人や同僚と飲みにいったり週末に近隣の温泉施設に行ったりというこれまで当たり前であった楽しみを奪われると精神的なストレスを十分に発散できず仕事のモチベーションがわきません。これまでは疲れた時は週末に近くの温泉施設に行って風呂に上がりにビールと天ぷら蕎麦を頂けば容易にリフレッシュできていたのですがそれすら叶わず、論文データを前にしても全くやる気が起きません。自分の弱さを実感しました。

二つ目は対面で人と話すことの大切さです。特に研究に関しては人とのちょっとした会話の中で色々とアイデアが浮かんできたり、飲み会で話が盛り上がって良いアイデアが浮かぶことは良くあります。これがウェブ会議で話をしていても全然良いアイデアが浮かんできません。慣れの問題なのかもしれませんが。教授ブログで当科の小川教授が新しい生活様式に異を唱えていますが、私も新しい生活様式で可能なこととやはり対面で人と人との触れ合いがないとできないことがあることを実感しています。

このように自粛生活も4ヶ月目に入り、私の生活にも流石に色々と影響が出てきました。なんとか第2波、第3波もうまく乗り越えて早く元どおりみんなでわいわいできる生活に戻れると良いですね。Stay safe, everyone!

文責 赤松秀輔