From 大学院

はじめまして。現在大学院に存在している吉川と申します。

このブログもついに大学院生にまで回ってきたことを吟味するとスタッフはよほどお忙しいのだと思いますが、せっかくですのでこの場をお借りして当教室の大学院生の日常を書かせていただこうと思います。

大学院生の最大の目標は学位を取ることとされており、そのためには論文を書く必要があり、そのためには十分に確からしい成果を伴う実験を行わねばなりません。しかし闇雲に実験をすればうまくいくわけでは勿論なく、適切なプランが重要であり、さらには興味深そうな結論に繋がるアイディアが肝要となります。このアイディアというのは、研究を始める当初にはほとんど妄想に近いものもあるわけです。いわゆる「あんなこといいな、できたらいいな」です。つまり大学院というのは「中年に差し掛かった泌尿器科医たち(ほぼ全員♂)が日夜妄想に励み、それが実現することを切に願う場所」なわけです。

この情熱に溢れた妄想中年たち(以下、大学院生)は普段さして広くはない、たまに刺激臭の漂う研究室にある意味カン詰めになりつつ、週1-2回全体で、また各専門分野に分かれて指導教官を含めたミーティングを行います。紛糾することも稀ではなくもありません。ために夏はエアコンの温度設定が地球に厳しくなり、冬でも扇風機がその回転を止めることはありません。

また近年は年貢を収めた既婚医師が大半を占めているため、実験以外では非常勤医として近隣(たまに遠方)の病院で働くことでオムツ代等を稼いでいます。主に外来業務を担当しておりますが、平日の日中に私服で公共機関を利用して移動したり食事をしたりしていると、有閑マダムや修学旅行生たちから奇異の視線を頂戴することもしばしばです。まぁすぐ慣れますが。

このような大学院生たちの最大の息抜きは酒宴です。泌尿器科医は一つの病院でせいぜい数人の小勢力ですから、同期に近いやつと一緒に働くことはほぼありません。しかし大学院生は違います。前述のような負荷のかかった同年代の者共が集まっているのです。その溜まったエネルギー量はハタチ前後の頃もかくやと思わせます。しかし若さと品が失われています(後者は元々かもしれませんが)。具体的には、とにかく長い。誰も一気飲みなどしないのに、帰る頃には驚く程の酒がなくなっており、とある中華料理屋で「もう高い紹興酒しか残ってません」と言われた時にはにんまりしました。余談ですが、宴会の勢いと排尿の勢いの年齢的な変遷は似ている気がします。もっと年を重ねると、ちょっとずつしか飲まないけど頻度がやたら多くなったりするんじゃないだろうかと考えています。いずれにせよ明け方近くまで飲むとさすがに満足感がありますが、次の日の後悔は若い時の比ではありません。

徒然に書いてまいりましたが、人生最後の4年間の学生生活が貴重なものとなるよう、一日一日を過ごしております。少しでも興味を持っていただけましたら、よければご入学を。副研究室長の席を空けてお待ちしております。また宴会のお誘いも随時承っております。来月のブログも大学院生の担当です。次回こそは実験の詳細を。

 ご清覧ありがとうございました。

(文責 吉川)