なつかしい再会

先日泌尿器科に関連する講演会に参加する機会があった。
その講演会に私がカナダバンクーバーに留学していたころの留学先のボスProf. Martin Gleaveが演者のひとりとして参加されていたからだ。

私が留学する前から、そしてその後も脈々と続く彼のtranslational research、言葉だけでなく実際彼がベンチャーを立ち上げ、基礎実験のレベルから臨床応用まで成し遂げたOGX-011, OGX-427の話を聞くことができて非常に興味深いものだった。

現在、私も泌尿器科実験室長を拝命し大学院生を指導する立場ではあるが、日々の臨床業務に追われ、基礎医学の知識も周回遅れとなりつつある。
これで本当に大学院生と研究についての議論ができるのかと悩みの中にいるところであったが、臨床医として日々手術を精力的に行いながらも大きなグラントをとり大勢のメンバーが所属するラボを運営し続ける彼の手腕・発想力はとても魅力的で、自分も言い訳なしで見習わなければならないなと強く感じさせられた。

自分が大学院でいたころは基礎研究室で行われている研究がとてもかっこよく見えてしかたなかったけれど、実際臨床に役立つ研究には臨床家の発想が不可欠だと思うし、泌尿器科のような臨床科が大学院生を育てる意味もまたそこにあると感じる今日この頃です。

今回のフォーラムには同じころ留学し家族ぐるみで付き合った他大学の泌尿器科医もおり、講演会の後も食事会で非常に盛り上がった。

さらに翌日は彼らと浅草見物にも出かけ、Martinの12歳の息子のための忍者コスチュームや刀などを購入することとなった。どんなに忙しくても家族を大事にしている彼の人柄もまた人を引き付ける魅力のひとつなのだろうと思う。

私も娘に何かお土産をと思ったが、結局無難な東京バナナを購入して家路についた。

(松井喜之)