一般の皆さまへ あつかう主な病気

精巣腫瘍

はじめに

はじめに

精巣腫瘍は、胚細胞(>95%)または非胚細胞のどちらかに由来します。精巣の胚細胞腫瘍は15歳~35歳の男性に最も頻度の高い悪性腫瘍です。主な症状は痛みを伴わない陰嚢の腫大です。進行した精巣腫瘍では、陰嚢腫大以外にホルモン異常による女性化乳房や、後腹膜リンパ節転移による腰痛、肺転移による呼吸苦や血痰、脳転移による神経症状などの症状が現れる可能性があります。羞恥心のため病院受診するまでの時間がかかることも珍しくありません。初診時には約30%が転移していると言われますが、その場合でも適切に治療を行えば高頻度に根治が期待できる数少ない固形腫瘍と言われています。

検査と診断

検査と診断

触診、超音波検査、採血検査(精巣腫瘍マーカーの確認)、CTなどにより、他の陰嚢腫大を起こす疾患(精巣上体炎、陰嚢水腫、精巣捻転)との鑑別を行います。組織型を決定することが治療方針の上で重要です。精巣腫瘍が強く疑われる場合は、鼡径部を切開する高位精巣摘除術によって精巣の摘出を速やかに行い、病理検査にて診断します。

治療

治療

組織型や転移の有無、腫瘍マーカーの値、リスク分類を踏まえて、病期分類に応じた治療を行います。転移がある場合などでは、化学療法を中心とした治療を行いますが、放射線治療を行う場合もあります。精巣腫瘍の化学療法は治療スケジュールをしっかりと守ることが非常に重要になります。また、化学療法後の残存腫瘍に対しては残存腫瘍切除術が必要となる場合があります。

予後と療養

予後と療養

適切に診断・治療がなされれば、早期症例では90%以上、進行症例でも70%以上で治癒が期待できます。治療後は定期的な通院、検査が重要です。反対側の精巣に精巣腫瘍が発生することがありますので、自己触診が勧められます。